おいしい野菜とは?
食べる側のおいしい
おいしい野菜とは、何でしょう?
食べる側としては、
- 知り合いの方が丹精込めて育てた野菜
- 家族のじぃちゃん、ばあちゃんが育てた野菜
であると、おいしいですよね。
また、「旬」であるということも、人が春夏秋冬の季節に応じて食べたい、食べると美味しいと感じる時期なので、おいしいです。
育てる側のおいしい
育てる側の有機農家としては、
- 品種
- 鮮度
- 栽培理論・栽培方法
などがおいしさに関わってきます。
それぞれの価値は、
- 品種は、大根なら青首大根だけでなく、紅芯大根、聖護院大根など各種の特性(付加価値)
- 鮮度は、出来上がった野菜の点数をいかに下げないか(いかに減点を少なくするか)
- 栽培理論・栽培方法は、その品種に備わっている野菜の価値をいかに引き上げることができるか(いかに点数を上げることができるか)
これらの総合の点数はこうなります。
総合点数 =( 栽培+品種ー鮮度 )
ただし、品種の価値は栽培に依存しますし、鮮度は今なら翌日か翌々日にはお届けできるので、たいさはありません。
つまり、総合点数の割合でいえば、栽培が総合点数の大きな割合を占めます。
ということで、
育てる側の私が思うことは、「無農薬の有機栽培で理論(仮説)と栽培方法(実践)がばっちり合わさったとき」に、とてもおしい野菜に育つと考えています。
イメージとしては、野球で、ピッチャーがボールを投げてキャッチャーがミットを動かさずにボールを受け取るとき。

でも、そのストライクゾーンは実はとても狭いのです
そもそも、次の二つがストライクゾーンを広げています。
- 野菜は「ある程度」育っちゃう
- 「有機栽培」というストライクゾーンがとても大きい
今日はこのことについて、そして最も大事な「ストライクゾーンが実は狭い」ということについて書いていきます。
これは、無農薬有機野菜を宅配する上で知っているといいのではないかと思うのです。
野菜は「ある程度」育っちゃう

ご家庭で、ミニトマトは育てられたことはありますか?
よくホームセンターで育てるための一式のセットが販売されています。
ご家庭のベランダや庭で育てられたとき、おそらく収穫することができたのではないかと思います。
そうでなければ、ミニトマトの一式のセットを販売する業者さんも、販売しないですよね?
全然育たなかった人が続出するようでは、一色のセットを販売していたら赤字になってしまいます。
ミニトマト以外にも、ナスやピーマンなどの苗、大根やニンジンなどのタネもホームセンターでは販売しないはずです。
ということは、趣味の方でも「ある程度」野菜は育つ。
つまり、言い換えると、「野菜を種あるいは苗から育てて収穫に至る」という意味でのストライクゾーンはとても広いのです。

ここが、一つ目のポイントです
とここで、「ある程度」という言い方をしてきたのは、そのミニトマトを「何日間収穫」し、「何人分収穫」できたのか、ということです。
「収穫期間」と「収穫量」。
例えば、農家が生業としてミニトマトを専門で育てるのであれば、「3か月の間、毎回300家族分」くらい出荷するのではないかと思います。
端的に言えば、この「収穫期間」と「収穫量」の違いが趣味でされる方と専業農家で違いで、「収穫に至る」ということで見れば同じです。
専業農家のように規模を拡大し「収穫期間」と「収穫量」を増やすためには、
- 虫や病害虫対策
- 自然の猛威に対する備え
- 日照不足や長雨などの気象条件
などを乗り越えていく栽培技術が必要になってきます。
では、次は、その栽培について進みます。
有機栽培のストライクゾーンは広い
有機栽培は、有機JAS認定を受けるかどうかは別として、
「無農薬、無化学肥料であれば有機栽培」
ということになってしまいます。
そうすると、次のような栽培でも有機栽培という「ゾーン」に入ります。
- 農薬を使わずに、肥料を入れなかったら有機栽培
- 農薬を使わずに、堆肥だけ入れて栽培しても有機栽培
このように有機栽培を始めることはとても簡単なことなんです。
それこそ、趣味の方でも「有機栽培」として始めることは簡単ですので、
農家非農家に限らず有機栽培を実践しようと思えば、誰でも気軽に始められます。
そういう意味で、ストライクゾーンはとても広い。

ここから先が、重要なポイントです
今まで書いてきたことは、ストライクゾーンの広さについてでした。
しかし、ここから先の話で、ストライクゾーンは狭まります。
今まで書いてきた内容で抜け落ちている物は何か?
それは野菜の「品質」です。
野菜の「高品質」は、理論がベース、次に方法
冒頭で、「無農薬の有機栽培で理論(仮説)と栽培方法(実践)がばっちり合わさったときに、とっても美味しい野菜に育つ」と書きました。
この、「仮説を立てて、実際に現場で検証する」というのは、モノづくりの製造業では当たり前のことです。
このトライアンドエラーを繰り返して、モノづくりを深めていく。

研究・開発⇒設計⇒生産⇒販売という流れ
しかし、野菜を育てるとなると先ほども書きましたが、
- ある程度は育つし
- 有機栽培は誰でも簡単に始められる
ということもあって、なかなか、「品質」まで目を向ける方が少ないのではないかと思います。
それもそのはずで、無農薬で育てることは簡単に始めることはできますが、実際にはとても難しいことでもあります。
カタチにするだけでもなかなか難しい作物もあります。

無農薬で夏にコマツナやキャベツなどを育てた方はわかると思います
私が有機栽培を実践するのは「安心安全」はもちろんなのですが、「高品質」ということに目を向けているからです。
その「高品質」を実現するためには、
- 植物生理を理解すること(理論)
- 生理作用に必要となる肥料や堆肥を適切に畑に入れること(実践:栽培方法)
- 理論と実践の誤差を少なくする、トライ&エラーを繰り返すこと
が必要です。
要するに、「植物に必要な栄養素をしっかりと補うために土壌の中の栄養分を分析し、施肥設計をしてまずは栽培の土台を作り、それを畑で実践する」ということを繰り返し、精度を上げていく。
簡単に書くとこうなってしまうのですが、これがまた難しく面白いところでもあります。
まずは、植物はどういう生理現象で育っていくのかを理解しなければ、「どんな肥料」を「どのくらいの量」畑に入れなくてはならないのかが分からない。
(参考:まずは栽培理論を語れる有機農家か?野菜セットの通販で宅配する前に)
これがうまく当てはまれば、たくさん光合成をするわけですから、その野菜は、炭水化物がもととなるビタミンなどを多く含む栄養価の高い、美しい野菜が育ちます。
まとめ
最後に、もう一度おさらいです。
- 「収穫期間」と「収穫量」は別にして、野菜は収穫までなら何とか育っちゃう
肥料を入れない場合も、堆肥だけ入れる場合でも有機栽培なので、そのゾーンはとても広い
- 私が有機栽培を実践するのは「高品質」を目指しているから
露地栽培で野菜を育てていますので、気象条件の影響はとても大きいです。
工場で作ってるわけではありませんから、条件をコントロールできるわけではありません。
でも、だからこそおもしろい。
お天道様の光エネルギーを電気エネルギ、熱エネルギに変換して、逞しい細胞作りができるように野菜の生長のお手伝いをしたいと考えています。
曇天や長雨が続いてもやれることはたくさんあります。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
参考になれば幸いです。