高度経済成長期には「モノ」が、大量に生産・消費されていました。
それまでは「モノ」がなかった時代だけに、大量に作れることと大量に消費できることは、
一種の喜びだったんでしょうね。
でも。
今の社会では「モノ」の表面だけでなく、プロセスも見るようになってきました。
例えば、「モノ」の製造過程における
- 自然環境への負荷、地域への貢献を考えたり
- 労働者への対価、福利厚生を考えたり
- 購入する人にとって安心できるプロセスを「視える化」したり
といったようなプロセスを。
大量生産・大量消費がもたらした「影」の部分に「光」を当てることによって、
「モノ」の本当の価値を見ようとしていることが広がっています。
こういった「モノづくりの過程も含めた商品」、それを今「コト商品」というそうです。
「物ではなく事」を買う。
「モノ」が生まれる過程を知っている方がより愛着も生まれます。
特に野菜は口から体内に入る「モノ」。
ですから、
安心安全という意味でも野菜の「コト」を知ろうとしているということは、
読者の方にとって野菜の「プロセス」を見ようとしている。
今回は、
無農薬野菜や有機野菜の宅配における「コト」についてお届けできればと思います。
参考になれば幸いです。
農家直送の有機野菜セットに含まれている「コト」
無農薬野菜や有機野菜の宅配サービスを検討する際には、
- オイシックス・ら・大地のような大手宅配サービス会社
- 地域密着型の宅配サービス会社
(例えば九州であれば、九州野菜王国、やお九州など) - 個人の有機農家から野菜を直送
と大きく三つに分けることができます。
1)大手宅配サービス会社では、
- 多いところでは5000軒もの農家さんと契約している中から
「○○さんのトマト」というような感じで農家を紹介 - 会社の中の「○○オブザイヤー」という章をつくり農家を紹介
ということをされています。
多くの農家がいることから、全ての農家を紹介することはできませんから、
そのような形で読者の方に「コト」を提供しているのだと思います。
大手の宅配サービス会社の場合は、商品のラインナップが多いので
「コト」よりも「モノ」についての情報提供が多くなされています。
情報提供の度合いは「コト<<モノ」という感じです。
次に。
2)地域密着型の宅配サービス会社では、
- 大手ほどの農家と契約していないので、農家あるいは農業団体を
ホームページ上で紹介 - その中で一人一人、あるいは、一つ一つの農業団体からの「メッセージ」、
「こだわり」、「豆知識」などを生産者の声として紹介
ということをされています。
大手に比べてより、農家について詳しく紹介している感じがします。
情報提供の度合いは「コト=モノ」、同じくらいの情報量という感じ。
最後に、
3)個人の有機農家からの直送について。
まず初めに「そんな選択肢があったんだ」、という方もいるかもしれませんね。
宅配サービスの中ではなかなか知る由もない個人の有機農家からの宅配。
ネットで検索したところで、なかなか出てこない。
ということはさておき。
先に述べておくと個人の有機農家からの宅配は、
情報提供の度合いは「コト>>>モノ」です。
なぜなら、
商品のラインナップが「野菜セットのサイズ」の違いくらいで、
少ないということもありますが、有機農家自身が、
- 栽培方法や栽培理論
- 使用している堆肥や肥料
- 栽培している地域や環境
- 栽培している野菜の種まきから収穫までの過程
その他、それぞれの有機農家が考えていること、こだわりなど、
多くの「コト」をブログなどで公開しています。
宅配サービス会社の農家の紹介ページが1ページ程度であるのに対して、
個人の有機農家のホームページは上記のことに関して200から300ページ、
多ければそれ以上ということもあります。
野菜の宅配サービスの「コト」、つまり、
「野菜の種を蒔き、収穫されるまでの多くのプロセスを知る」ことができるのは、
個人の有機農家しかない、といっても過言ではありません。
それでも全てを網羅することができないかもしれませんが、
最も「コト」についての情報提供の度合いが高いのは確実です。
「コト」を知ることで体感の感度がより上がる
「モノ」は、言い換えれば、何かをするための「道具」ですよね?
- 「走る」ためにランニングシューズを買う
- 「音楽を聴く」ために、レコードプレーヤを買う
- 「知る」ために、本を買う
- 「畑を耕す」ために耕運機を買う
といったように、体験・体感するために「モノ」を買う。
野菜であれば「食べる」ために買うわけですが、
食べるまでに求めるプロセスは人それぞれで
- 大手の宅配サービス会社が提供しているような、全ての野菜がカットされているような
炒めるだけというプロセスを求める - 加工されていない、収穫したての新鮮な野菜を、料理するというプロセスを求める
など、色々あっていいと思います。
英語を話したい人が、
- 単語帳を買う
- 会話形式の本を買う
- 耳から聞いて学ぶCDを買う
- 英会話教室に通う
ということを選ぶのと同じで、それぞれの読者がそれぞれに合った商品を選択し、購入する。
食べるという行為は、
「視覚、味覚、聴覚、嗅覚、触覚」の全てを使いますから、
それを体感するために購入しているといっても、いいかもしれません。
その感度をより上げるのは「モノ」の背景にある「コト」なんだと思います。
慣行栽培でもなく自然栽培でもなく「有機栽培」で無農薬野菜を育てる理由
まとめ
モノとコトの情報提供の度合いはそれぞれ、
- 大手宅配サービス会社「コト<モノ」
- 地域密着型の宅配サービス会社「コト=モノ」
- 個人の有機農家からの直送野菜「コト>>>モノ」
となります。
読者の方に合ったそれぞれの「モノ」、「コト」を選択してくださいね。
きっとより良い食卓になるはずです。