「400種類」
この数字は何かというと、過去数十年間で絶滅した日本古来の伝統野菜の品種の数。
1980年代には「1200種類以上」あった伝統野菜。
- 大量生産
- 生産流通
の二つが不向きな伝統野菜は、減少一途をたどっています。
伝統野菜は「形と収穫期」が不揃いになりやすいので、
- 流通業者としては、輸送効率が悪い
- 生産者としては、収穫期がずれるから作業効率も悪い(一気に収穫できない)
それならばと、「形」も「収穫」も揃いの良いものをという考えに至り、大根でいえば「青首大根」がスーパーに並ぶようになりました。
あの真っすぐな形は、
- 収穫のしやすさ
- 箱へのおさまりの良さ
ということで、生産者と流通業者のどちらの作業効率もアップ。
大規模流通はおおよそ、
「地元の農家→ JA→ 市場→ 卸し・小売り店→ 消費者」
という流れです。
「大規模流通に載る野菜」と考えれば自然なことで、淘汰されてしまってもしょうがないのかもしれません。
でも今は、大規模流通以外にも「市場を通さない」多様な流通が存在するようになってきました。
これは野菜に限った話ではなく、インターネット通販が当たり前になった現代では、直接消費者に届くことが当たり前になってきています。

民間の運送会社のトラックが走っている姿を見ない日は、ほとんどないありません
- 地元の契約農家→ 地域の宅配サービス会社→ 各ご家庭へ
- 有機農家→ 直接野菜を宅配→ 各ご家庭へ
これは、大規模流通が「形」を指標にしているのに対して、小規模流通では「個性」を指標にできるということ。
つまり、伝統野菜が持つような
- 味そのもの
- 見た目
- 形
- 彩り
- 香り
など、野菜本来の「個性」が流通に載っかっるということになります。
せっかく無農薬野菜や有機野菜を宅配するなら、大規模流通には乗らない「野菜の個性」も、「安心」と併せて楽しんでみてはいかがでしょう?
九州の伝統野菜
九州の伝統野菜の一部をご紹介。
例えば、
- 福岡の「大葉春菊」
葉が丸く、茎が短いのが特徴。
北九州から広島まで「鍋春菊」の名で広まっている。

参照:サカタのタネ
- 長崎の「雲仙こぶ高菜」
雲仙市特産。
葉柄にできる長いこぶが特徴。

参照:らでぃっしゅぼーや
- 熊本の「水前寺菜」
熊本の水前寺特産。
栄養豊富な葉菜で、別名「金時草」、「ハンダマー」。

参照:沖縄百科事典
- 鹿児島の「桜島大根」
大きいものは30kgにもなる世界最大の大根。
温暖な気候と火山灰土が作り上げた緻密な肉厚と甘みが特徴。

参照:らでぃっしゅぼーや
- 宮崎の「糸巻き大根」
宮崎県の西米良村特産。
その名の通り大根に赤紫の糸がぐるりと巻きついたような色合いが特徴。

参照:クサマヒサコの野菜ノート
など、この他多数。
シュンギク、高菜、ダイコンは知っているけれども、「○○シュンギク」、「○○高菜」、「○〇大根」という個性的な野菜が、九州各地にはあります。
これは、九州に限った話ではなく全国各地にそれぞれの「○○」があります。
「個性」のある伝統野菜を食べると
伝統野菜を食べるということは、
- 野菜それぞれの個性を楽しんで料理をする
- 知らない野菜を知り、楽しく、美味しく、食べる
- その伝統野菜のを栽培している有機農家を応援する
- 伝統野菜の種を紡いでいる方々を支援する
- 日本の各地域の伝統野菜が残る
- 日本各地域の個性、多様性が保たれる
という、「個別特殊性が保たれる」良い連鎖が生まれる最初の「キッカケ」になっていくように思います。
当園でも九州の伝統野菜を栽培していますが、九州地方の野菜だけではなく、その他各地域の伝統野菜も栽培していいます。
九州にある農園であっても、各地域の色んな野菜を育てることは可能です。
とはいえ、やっぱり、
- 「楽しく栽培していたら美味しい野菜ができていた」
- 「食事を楽しんでいたら、その結果健康になっていた」
- 「それが回りまわって日本の伝統品種が各地に残っていた」
こういった「後から結果が付いてくる」という方が自然で、有機的につながっていく流れのように感じますので、「滋味ある品種選び」が農家にとっても、食べ手にとっても大事。
美味しくなければいくら伝統野菜といえど淘汰されてしまいます。
野菜を宅配すると、もしかすると、お住まいの地域の伝統野菜を食べることもあるかもしれませんね。
まとめ
- 大規模流通には乗らない野菜の「個性」が、農家直送野菜には載っかる
- 九州を含む日本の各地域には「○○大根」などの個性的な伝統野菜がある
「野菜を宅配する」という選択をするキッカケは、安心して無農薬野菜を食べたい、有機野菜を食べたい、ということだと思います。
安全な野菜を安心して食べるというのは本来当たり前の話ですので、それに併せて各野菜の「個性」というものも楽しみの一つとして、検討してみてはいかがでしょうか?
参考になれば幸いです。