ヒトが健康に育つようにと考えたとき、食事で意識するのは、
- ご飯
- 主菜
- 副菜
をバランスよく取る、言い換えれば、栄養をバランスよくとる、
ということが大事です。
次に、野菜を「無農薬、かつ、有機栽培」で、
健康に育てようと思った時に大事な栄養、肥料って、何でしょう?
- たい肥
- 石灰
- 魚かす、油かす
これらは、ホームセンターなどでもよく見かけるのではないでしょうか?
色々な栄養素を含んでいるわけですが、もっと根本的な肥料って実は、身近なところにあります。
プランターや家庭菜園で野菜を育てたことがある方なら必ず行っていますし、誰もが知っていることでもあるんです。
灯台下暗し。
ヒトの栄養の吸収の仕方を例に、話を進めたいと思います。
参考になれば幸いです。
有機野菜を育てるときの主な肥料、栄養って?
有機JAS規格で使用が許容されている資材は、例えば、
- ワラなどの植物質を腐熟させた「たい肥」
- 家畜や家畜の排泄物を敷料とともに腐熟させた「厩肥」
- 有機質肥料や山土などを混ぜて堆積し微生物発酵させた「ぼかし肥料」
- 米ぬか、大豆から油をしぼった残りかすの「油かす」
など、種類はさまざまです。
どの資材を使用するかについては、それぞれの有機農家自身の判断によります。
- 野菜にとって三大栄養といわれる「窒素N、リン酸P、カリK」をどのように補給しようか
- 今は畑の地力があるから肥料を施さなくてもいいな
- まずは、土をフカフカにしたいから「炭素Cと窒素Nの割合の高い堆肥」を使おう
といったように、工夫を凝らして考えます。
「土づくり」というやつですね。
と、ちょっとここで、
「ヒトの体内での吸収の仕方」を例にとって考えます。
ヒトの栄養といえば、
- 炭水化物
- 脂質
- たんぱく質
- ビタミン
- ミネラル
が大切といわれます。
これらがどのように吸収されているのかというと、
- 食べ物はまず口の中でかみくだかれます。
- そして唾液と一緒に胃の中へ入っていきます。
- 食べ物が胃の中に入ってくると、胃が伸び縮みして食べ物をこねはじめます。
- そして、胃の内部はピンクから赤色に変わり露のような液体がふき出します。
※これを胃液といい1日3リットル出る。
※肉をたった3時間で溶かしてしまう強い酸性の液体(pH2)。 - そして、十二指腸、小腸、大腸へ
という、過程を経ます。
ここで、注目するのは、
「固形物」を「液化」して吸収しているということ。
つまり、口に入ってから出るまでの間に、何をしているかというと、
「養分を吸収できる液体の状態」へ持っていっているということですね。
固形のままでは吸収できません。
このことは野菜でも同じようなことが起こっているんです。
野菜にとって「水:H2O」が根本的な肥料
野菜の栄養を吸収する根っこの働きは、例えば、
- 作物は光合成によって作られた炭水化物(糖)を根に送る
- そこで、酸素:O2の力を借りて根の先端で「根酸」という有機酸類を作る
- この混酸でミネラルを可溶化し、そのあとに伸びてきた細根で吸収する
といった過程を踏んで、「ミネラル」を吸収しています。
可溶化、つまり、水に溶けた状態になって吸収されるということですから、
固形のままでは吸収できません。
- ご飯よりもおかゆの方が食べやすい
- サラダよりも野菜スープの方が食べやすい
ことと同じですね。
これは、農薬を使用する栽培の慣行栽培で用いられる化学肥料でも同じこと。
また、
野菜が生長するときには
H2O + CO2 → CH2O + O2
で表される「光合成」を行っています。
当たり前なんですが、光合成には「水:H2O」が必要です。
つまり、「水は肥料」であるとも言い換えられます。
この光合成をする際には、それを支えるさまざまな栄養素が必要にはなりますが、
根本的な肥料としては「水」ということになります。
ということで、前振りの
「プランターや家庭菜園で野菜を育てたことがある方なら必ず行っていますし、
誰もが知っていること」というのは、「水やり」のことでした。
元々、植物はおよそ9割が水分でできていますからね。
まとめ
- ヒトも野菜も、固形物を可溶化して栄養を吸収している
- 「水:H2O」は野菜にとって根本的な肥料である
というのがまとめです。
もちろん、栄養分も必要なのは間違いありません。
当園はハウスのような屋根のない「露地」、いわゆる一般的な畑で栽培しています。
そのため、
- 日照りが続き土が乾てしまうようなとき
- 風が強い日が続いて土が乾きそうなとき
には水を与え、露地栽培といえど適度に土が湿った状態を心掛けています。
「瑞々しい(水々しい)く、美味しい」野菜を育てるためには欠かせません。