
世界農業遺産ってご存知ですか?
「世界遺産」や「世界文化遺産」という言葉を耳にしたことはありますよね?
日本の文化遺産は、
- 富士山
- 古都京都の文化財
- 原爆ドーム
など。自然文化遺産では
- 白神山地
- 小笠原諸島
- 屋久島
などがそれぞれあります。
でも、「世界農業遺産」を知らない方は案外多いのではないでしょうか?
世界農業遺産も世界遺産同様に「遺産」なので、景観、自然など、
人類が共有すべき顕著な「普遍的価値」を持つということは間違いありません。
ずっと昔から淘汰されることなく今現在も存在している「遺産」。
それぞれの「価値」がずっと人々を引き付け続けるので、今も存在する。
それは「個別特殊なもの」だから。
「九州にある世界農業遺産」も「個人の有機農家の野菜セットの宅配」も、
規模は違えどそれぞれ唯一無二の「個別特殊なもの」なんです。
九州に存在する世界農業遺産って?
まずは、世界農業遺産について。
世界農業遺産に登録されている地域は2018年3月現在、
- 世界で46の地域
- 日本で9の地域
- 九州で3つの地域(日本のおよそ3割)
で認定されています。
上記で示した登録地域からわかることは、
日本の中で約3割が、九州に存在するということですね。
ご紹介すると、
- 大分県国東半島宇佐地域「クヌギ林とため池がつなぐ国東半島・宇佐の農林水産循環」
- 熊本阿蘇地域「阿蘇の草原の維持と持続的農業」
- 宮崎県高千穂郷・椎葉山地域「高千穂郷・椎葉山の山間地農林業複合システム」
がそれぞれ登録されています。
※ちなみに高千穂は、「祖母・傾・大崩ユネスコエコパーク」としての登録もあります。
※「世界遺産」が手つかずの自然を守ることを原則とする一方で、ユネスコエコパークは、
自然と人間社会の共生が目的となっています。
これらの地域特有の「地域資源、地理的環境」があって、
それに紐づく人々が営む生業があって、
その地域独自性が生まれる。
「個別特殊なもの」ですね。
社会問題としてたびたび取り上げられる
- 東京一極集中
- 地方の衰退
- 少子高齢化
などを考えるとますます、
世界農業遺産に登録されている地域の重要度が増しますし、
もともとその問題を加味して登録が推進されていたのかもしれません。
社会の「均質化」がより個別特殊なものを際立たせているのだと思います。
※参考:「個」が面白い時代になってきた?無農薬野菜や有機野菜の宅配も然り
無農薬有機野菜の宅配における「個別特殊」って?
逆説的に考えると、
全く同じものが2つ、あるいは、3つあったとしたら登録されるでしょうか?
それはそれでおもしろいのですが、きっと登録されません。
日本がすべて同じような風景だったら?
世界中の人々は、こんなにも日本に旅行に来ることはありません。
では、もし、
- 無農薬有機野菜の通販宅配がすべて同じ「野菜」だったら?
- 無農薬有機野菜の通販宅配がすべて同じ「品種」だったら?
- 無農薬有機野菜の通販宅配がすべて同じ「農法」だったら?
どうなるでしょうか?
どこから購入しても同じなの?ってなっちゃいますね。
でも、
有機栽培で同じ野菜の、同じ品種のものを、同じ農法で育てたとしても、
少しずつ異なる野菜セットができるでしょう。
なぜかというと、
野菜はそれぞれの土地、それぞれの有機農家の考え方に影響されますからね。
無農薬野菜や有機野菜の通販・宅配は農法よりも農家で選んでみる
また、野菜の種類、野菜の品種は海外のものを含めると相当な数がありますから、
ニンジン一つとっても個々の有機農家の考え方次第で変わってきます。
野菜の品種というのは実際、品種が多すぎて選ぶのに時間が結構かかります。
だからこそ、おもしろいのですが。
こう考えると、
「個々の有機農家が野菜セットを詰め合わせると全く同じものはできない」ということになります。
これも一つの「個別特殊なもの」。
各農家が何を求めているのか。
- 収量をたくさん上げたいのか
- おいしいを求めているのか
- 見た目を彩りよくしたいのか
- 珍しい野菜をお届けしたいのか
優先的に何を上位に持ってくるのかで、セット内容は変わってきます。
まとめ
地理的な特殊性、人間的な特殊性が相まって「世界農業遺産」が維持される。
地理的な特殊性、人間的な特殊性が相まって「野菜セット」が詰め合わされる。
農業は、自然に応じた「業」ですから、その地域や人に依存します。
どんな職業でもそうだと思いますが、
農業は特に「人間味」が関わってくる職業だということですね。