九州の「南国宮崎」とはいえ高千穂は寒い。寒いと野菜が美味しくなるのはなぜ?

九州の野菜と旬の野菜
「寒い」から起こる、みぞれの結晶が美しい

九州の中では南国といわれるほど温かいイメージがある宮崎県ですが、
県北に位置する高千穂町は違います。
標高が300m以上あるため、隣町には九州唯一のスキー場もあるほど。

・冬になれば氷点下は当たり前
・雪が積もることもしばしば
・冬の野菜の収穫は氷を触っているかのように冷たい

そんな厳しい寒さの中、野菜は生きています。
野菜にとっても、ヒトにとっても厳しい環境の「冬」。

でも、
「寒い」からこそ野菜が美味しくなるし、お鍋も美味しくなる。
読んでいただければ、よりおいしくお鍋が食べていただけるかもしれません。

寒さの中で生きられるのは野菜が糖分を増すから

普通なら凍ってしまいそうな中「なぜ生きられるのか?」
それは、
野菜が自分自身の身を守るために「体内の糖分」を上げて、凍らないようにしているから。

では、糖分を上げるとなぜ凍らないのか?
その理由は、
真水は0℃で凍りますが、塩水や砂糖水はもっと冷たくならないと凍らないという現象と同じ。
飽和食塩水(食塩濃度25%の食塩水)であればその食塩水は-22℃になってはじめて凍りますから、
真水に比べて凍りにくくなります。
「凝固点降下」ってやつですね。

例えば、
・冬場になれば道路に路面凍結剤を撒くことも
・自動車エンジンの冷却水が凍らないようにアルコールなどを混ぜていることも
同じ理屈。

野菜は冬が近づいてくると、外部の環境の変化を察知して、
生きるために葉や茎、根の糖分を上げています。

野菜が甘くなることに、炭水化物が関わってくるのはなぜか

では野菜自身が糖分を上げるために元としているのは何かというと、
それが「炭水化物」になります。

糖類は「炭水化物」が変化したカタチ、だからです。

以前に、下記の記事をご覧になった方はもうお分かりかもしれませんね。
慣行栽培でもなく自然栽培でもなく「有機栽培」で無農薬野菜を育てる理由
慣行栽培でもなく自然栽培でもなく「有機栽培」で無農薬野菜を育てる理由~その2~
慣行栽培でもなく自然栽培でもなく「有機栽培」で無農薬野菜を育てる理由~その3~

記事を要約すれば、「炭水化物は光合成で元々作られるもの」
野菜が生長する過程は、化学反応式で簡単に書くと
H2O + CO2 → CH2O + O2

太陽エネルギーを使って、水(H2O)と二酸化炭素(CO2)から炭水化物(CH2O)と酸素(O2)を作る。
いわゆる「光合成」。

光合成で作り出された「炭水化物」が、
1.野菜の行っているさまざまな活動エネルギー(炭水化物や養水分の各器官・部位への運搬、呼吸など)
2.野菜の体づくりの材料(炭水化物を使って有機物を合成・蓄積し、細胞や器官を作り上げる)
3.炭水化物の変化したカタチが「糖類、ビタミン類など」の美味しさ・旨味成分
という内容です 

例えば、
・カボチャを追熟させると、デンプンが糖に変わって甘くなること
・糖質制限ダイエットで炭水化物を減らすこと
は「糖と炭水化物」が関連してる証。

つまり、
健康に育った野菜は体内にたくさんの炭水化物を持ち、
甘みに変化する糖類をたくさん含んでいるということです。

まとめ

冬に食べる鍋がシンプルで美味しい理由はとどのつまり、「寒い」から。
・「寒い」から体を温めてくれるものが欲しくなるし、
・「寒い」から野菜が美味しくなる

雑炊はその美味しさが凝縮したカタチです。

いかがでしたでしょうか?
たった今、晩御飯が雑炊になったことと思います。

九州の中ではちょうど真ん中の山間に位置する高千穂町。
去年は氷点下7℃になる日もありました。

もし高千穂にお越しの際は、南国宮崎というイメージは忘れていただいた方が良いかと思います。
特に冬場は暖かい恰好でお越しください。

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