トレーサビリティ(traceability)という言葉をご存知ですか?
日本語訳にすると、「追跡可能性」と訳します。
何の追跡可能性なのかといいますと、
例えば、今着ている衣類がどのようにして手元まで来たか、
という衣類の生産から流通に至るまでの過程を追跡できるということです。
・どんな材料を使っているのか
・どこの工場でつくられているのか
・どんな流通ルートで輸入されているのか
・衣類の寿命が来たときにどうやって廃棄できるのか
このような取り組みは、衣類、漁業、農業などでの業界で行われていますが、
特に食品の分野で注目されています。
・遺伝子組み換え作物の登場
・産地偽装問題
・偽装表示問題
・食品アレルギー
・有機農産物の人気の高まり
などが度々ニュースなどで話題になるたびに
取り上げられることが多いように思います。
トレーサビリティの身近な例としては、菓子製造メーカがアレルギーの注意喚起として、
「本製品の製造工場では、小麦、イカ、カニなどを含む製品を製造しています」
という表記もトレーサビリティの一つではないかと思います。
では、有機野菜や無農薬野菜の販売ではどのようなことが考えられるでしょうか?
参考になれば幸いです。
九州の山奥にて営む「NOEN5」の場合
例えば、「NOEN5」の場合、
「どこで」
九州の山奥、宮崎県高千穂町の浅ヶ部という地区で
「どのような人たちが」
前田亮太という1児の親が一人で
(園主のプロフィール)
「どのようにして」
・種子はF1種や固定種の中から味を重視したものを選び
たねの話。固定種とF1種、雄性不稔の安全性。
・農薬や除草剤を使用しない有機栽培で
有機栽培とは?慣行栽培と対比して考える
慣行栽培でもなく自然栽培でもなく「有機栽培」で無農薬野菜を育てる理由
・種から苗に育てるための土は有機JAS認定のものを用いて
・肥料は硝酸態窒素のことを考慮して少量の鶏ふんを使い
肥料の量が野菜の味を決める
・収穫は発送当日の早朝に行い
・発送する有機野菜の情報をお客様に提供し
・種まきから発送までを一人で行っている
というような内容になります。
有機野菜や無農薬野菜を宅配する場合のトレーサビリティは、このような
・農地場所、農地の使用履歴(農地の使用履歴)
・栽培方法
・栽培過程で使われる資材
・種まきから出荷までの過程で関わる組織や人
などの事細かな情報を消費者は追跡できるようになっているかということ。
また、言い換えると、有機農家、生産者側は、
生産過程から流通過程に至るまでのすべてを網羅し、
消費者の方に分かり易いカタチで提供しているかということが問われます。
他の宅配サービス会社にも当てはめてみていただいて
参考にしていただければと思います。
消費者の「安全」を支えるトレーサビリティのその先へ
でも、安全は当たり前。
生産者はさらに消費者に対して、「安全から安心へ」とつなげていく努力が必要となります。
そのためには、
・「なぜ農業を始めたのか」
・「大切にしていることは何なのか」
・「どのような経歴の持ち主なのか」
というその人となりをお伝えしていくことも大切であると思います。
生産者は日々さまざまな情報に関して、分かり易いカタチで情報発信する。
分かり易い情報を提供し、あとは、消費者が取捨選択する。
消費者は「納得解(納得解について)」、「安心」を得られた有機農家から購入する。
まとめ
インターネットではたくさんの情報が掲載されている分、取捨選択も大変です。
一日中調べていたけれども決まらないことも多々あるのではないでしょうか?
本来は消費者がトレーサビリティを気にしなくてよいはずなんですが、
今の社会はそのような構造になっています。
そして、まだまだ、トレーサビリティが分からないものの方が多いはずで、
表面化していない問題もあるはず。
全てのプロセスはシンプルであるべきで誰が見てもわかるようになっていないと、
情報共有もできません。