無農薬野菜や有機野菜、自然栽培で作られた野菜はどこか高価なイメージがありませんか?
例えば、スーパーで
- オーガニック○○
- 有機○○
という形容詞がつくと周りのものよりも高いですよね。
なぜ無農薬野菜や有機野菜の価格は、一般的な野菜(農薬を使用している野菜)よりも高くなってしまうのか?
ポイントは、
- 供給量が圧倒的に少ない無農薬有機野菜
- 構造的にかかってしまう人件費
参考になれば幸いです。
供給量が圧倒的に少ない無農薬有機野菜
総農家数の0.5%が有機農家の数
農林水産省のデータ(平成22年度有機農業、基礎データ作成事業報告書、2010年世界農林業センサス )によると、
有機農業の生産面積はゆるやかに増加しているが(2万6千ha(H27年推計))、我が国の耕地面積の0.6%に過ぎない。農家数も1.2万戸であり、総農家数の0.5%。
とあります。
日本全国で総農家数の0.5%しか有機農家がいない。
- 100点満点のテストでは0.5点
- 2Lのペットボトルには1ml
- 体重60㎏なら300g
イタリアは9%、ドイツでは6%程度ですから、およそ10分の1。
これでは供給される有機野菜の量が圧倒的に少ない、というか、ほぼ流通していない。
供給量が少なければ価格は自然と高くなります(農薬を使用した一般的な野菜に比べて)。
無農薬有機栽培はむつかしいから実践する人が少ない
なぜ供給量が少ないのかといえば、やはり、無農薬有機栽培はむつかしいということ。
一般的に農薬を使われた野菜でも、
- 台風
- 長雨
- 日照量不足
- 低温や高温などの気温
などのリスクをどうやって乗り越えるかということが問われます。
それに加えて、無農薬有機野菜の栽培は、農薬が使えないことによる
- 病気による被害
- 害虫による被害
を受けます。
日本は特に温暖湿潤でジメジメしていますから、カビ系の病気も発生しやすい。

お風呂場は湿度が高いのでカビが発生しやすいですよね?それと同じです。
日本特有の「温暖で湿潤」な気候や台風などの自然災害は、「冷涼で乾燥」という海外の条件に比べて、無農薬有機栽培の供給量アップを阻害する要因でもあります。
日本で有機栽培を実践するのは、そもそもハードルが高い。
だから、有機野菜の供給量は少なくなり、一般的な農薬を使用した野菜に比べて値段が高くなります。
体系化されない栽培方法
先にも書いたように、農業では生産する条件に「外乱」がとても多い産業です。
例えば、車の工場ではこのような生産条件になりませんよね?
生産するために機械へ送る電力量の供給は常に一定です。加工するモータの回転数がバラバラでは品質に影響を及ぼします。
でも、農業ではその電力に当たる「光量」が変化しますから、供給量が減り価格が高騰することもあります。
加えて、農業は各土地で「性質」が異なります。
- 地域特性(気温、雪の有無、海沿いか山沿い、農業が盛んな地域か)
- 土壌の種類(ポドゾル、黒ボク土、褐色森林土など)
- 畑か、田んぼか、耕作放棄地だったのか
など、工場であれば各土地で生産する条件は同じにできるのですが、農業の場合そうはいきません。

このようなこともあって、なかなか栽培技術が体系化さていません
ということは、マニュアル本がないのと同じなので広まらない、後継者が育たないと、なってしまいます。
野菜が手元にくるまでに上乗せされる「人件費」
各販売元の評価一覧
さて前置きが少し長くなりました。
「スーパー」に対して価格が同等と考えられるのが、「朝市」や「直売所」で◎。
その次が「有機農家の直送野菜」〇。
最後に、
- スーパーの有機JAS
- 自然食品店
- 大手宅配サービス会社
- 地方の宅配サービス会社
を△としました。
価格差の正体は流通の構造
同じ無農薬野菜、有機野菜を育ててもなぜ価格差が生じるのか?
これは、農家(生産者)と消費者との間に何人の人が関わっているのかによって生じます。
つまり、流通経路の構造的な問題。
一般的に「スーパー」に並ぶ多くの野菜は農薬を使用したもので、大量に取引がなされるために安く販売することができます。
「朝市」や「直売所」はアマチュアで家庭菜園を楽しむ方が、非営利目的で販売されていることもあるために低価格競争となり、価格が低くなる傾向にあると考えられますので◎。
評価が△の各項目の理由は以下の通りです。
- スーパーの有機JAS →有機JAS認証を受けていること(参考:有機JAS認証を受けない理由)、仲介者が多いこと
- 自然食品店 →全国で契約している有機農家から取り寄せて販売している
- 大手宅配サービス会社 →全国で契約している有機農家から取り寄せて販売している
- 地方の宅配サービス会社 →特定の地方で契約している有機農家から取り寄せて販売している
「自然食品店」と「宅配サービス会社」の流通経路は、
農家(生産者)→ 運送 → 自然食品店 → 消費者
農家(生産者)→ 運送 → 宅配サービス会社 → 運送 → 消費者
これに対して、
有機農家を〇にした理由は、栽培をすべて自分で行っているため野菜を取り寄せるという過程が必要ないから。
農家(生産者)→ 運送 → 消費者
間は運送のみです。
とはいうものの、流通経路に関してみればこのように捉えることができますが、価格設定はそれに以外にも
- 最適な投資(機械選定、資材)
- 最適な作付け計画
- 栽培技術
などという要素もあるために、一概にはいえませんが、構造的に考えて有機農家の直送野菜は〇としました。
変動する価格と変動しない価格
評価に際しては、通常価格について行いました。
野菜の価格は、自然災害や気象条件によって、スーパーで販売されているものは高騰することがありますよね?
2倍になったり、高いときは安いころの3倍近い値段になることもあります。
価格の変動が起こるということは、一般的な野菜を購入するということで見れば当たり前になってしまっています。
でも、野菜の価格が変動することは当たり前ではなく、定期宅配サービスでは固定価格ですからそのようなことはありません。
- 一般流通の野菜の価格は、通常は安いが変動することもある
- 定期宅配サービスの野菜の価格は、高いが変動はしない

ちなみに、一般的な野菜が高騰しているときでさえ、有機野菜の供給量よりも多いでしょうね
まとめ
いかがだったでしょうか?
有機野菜の価格を決めるポイントのおさらいは、
- 無農薬有機野菜は供給量が圧倒的に少ない
- 野菜を栽培してから手元に来るまでに多くの人が関わるほど野菜は高くなる
続いては、どこから無農薬野菜や有機野菜を購入すべきか?品質編です。

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コメント
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